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『流跡』

流跡流跡
(2010/10)
朝吹 真理子

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 朝吹真理子『流跡』新潮社、2010

 本書は著者のデビュー作である。何とも不思議な作品である。とはいえ、奇想天外なことが起きているわけではない。日常の単調なことが書かれている。また容易に句点を打てない、書くことのためらいが書かれている。ここには、全てがわかっており、現代社会をくまなく説明してみせる主体はいない。そこに私は安堵を覚える。

 また、この作品から何かの主張や意味を汲み取ろうとするのは、おそらく余計なことだろう。野暮である。

 そして、この作品は不穏な心地よさに満ち満ちている。いやな感じのする本である。加えて、静かな感じがする。しかし、一体何が書いてあったのか、よく思い出せない。だから、多分、また読んでしまうだろう。ずっと最後まで流れている。何が。それを少しでも掴もうとして読む。そういう気にさせられる本だ。

 難解なところはどこにもない。おそらく何も主張していない。ただ、何かが流れ、たゆたっている。それにただ身を委ねればいい。そういう本だ。
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プロフィール

EMI Takashi(ヒソカ)

Author:EMI Takashi(ヒソカ)
 2005年に神経性疾患を発病し、体調記録をつけるためにブログを始めました。そして、読書能力の回復に伴って、本のレビューを書くようになったものの、最近は時間を作れず、やや休止中でございます。

 2017年3月末に5年勤めた出版社を辞め、4月から同じ宗教法人の他部局で働くようになりました。仕事そのものは、相変わらず楽しい。

 このブログでは、「扉の開いた」言葉を求めつつ、この世界に生きる一人の人間として疑問に思うことを考察していきます。

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