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『これはペンです』

これはペンですこれはペンです
(2011/09/30)
円城 塔

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 円城塔『これはペンです』新潮社、2011

 著者については何も知らない。佐々木中さんの『アナレクタ3』で対談者の一人として名前があった。「佐々木さんの対談相手なら」と興味を抱き、本屋にサイン本として置いてあったこの本を手に取った。ビニールで包まれていたので中身も読んでいない。シンプルなタイトルと、「叔父は文字だ。文字通り」という帯文を読んで、深く考えもせずに購入した。

 それが運のつきだったのかもしれない。一読して引きこまれた。帯文は最初の一行だ。単純な文章だ。しかし、これは何だ。わからない。けれども、先を読まずにはいられない。これは、書くことについての小説だ。といって、小難しくはない。すいすい読める。しかし、こんな人間がいるのだろうかという疑問を押し殺し、真に受けて読むと、面白い。

 二つの物語が収められている。一つは、文章の自動生成装置を発明し、突飛な素材で自在に文章を生みだす叔父と、その姪の物語である「これはペンです」。表紙にタイプボールがあることから書くことについての物語であるのは予感される。この物語はどんな状況でも書くことができる、あるいは書く道具に何を使っても書くことができることを証明しようとする人、つまり叔父を中心にしている。叔父がどんな人なのかを、姪は知らない。「叔父は文字だ。文字通り」というのが、音の似た単なる言葉遊びでないことが読み終えるとわかるだろう。かなりヘンテコな叔父さんだと思う。

 もう一つは、存在しない街を克明に幻視し、現実・夢・記憶・の世界を行き来する父と、その息子を描いた物語「良い夜を持っている」。こちらは、読むことについての物語だ。こちらに出てくる父もかなり奇妙な人だと思う。

 いずれも、まともな社会生活を営めないように思える。しかし、そういう問題はない。もっとも、一緒に暮らす家族にとっては厄介さがあるけれども。

 二つとも、ヘンテコな人物の出ているヘンテコな物語だ。文章はすいすい読ませる。読みやすい。しかし、最初に勢い込んで読んだ時の面白さが何に由来するのか、読み終わった今も、うまく言うことができない。魅惑的で、あたたかく、けれどもどこまでも醒めた物語であるところに、その理由があるのかもしれない。
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EMI Takashi(ヒソカ)

Author:EMI Takashi(ヒソカ)
2005年に神経性疾患を発病し、体調記録をつけるためにブログを始めました。そして、読書能力の回復に伴って、本のレビューを書くようになったものの、最近は時間を作れず、やや休止中でございます。

 数年前、出版社で働くようになりました。仕事そのものが面白く、その都度自分で課題を見つけて解決するというプロセスが楽しい。
 このブログでは、「扉の開いた」言葉を求めつつ、この世界に生きる一人の人間としてキリスト教・世界に対して疑問に思うことを考察していきます。単に評論家的な批評をするのではなく、自分でできることを示せるような、自分の持ち場に立った言葉を紡いでいきたいです。

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