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『恋する原発』 一部ネタバレバージョン

恋する原発恋する原発
(2011/11/18)
高橋 源一郎

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 高橋源一郎『恋する原発』講談社、2011 [もう一つのメモです。一部ネタバレしているので、読む際にはご注意下さい]

 あからさまな性的表現がポンポン出てくる。出過ぎるから興奮しない。当然か。むしろ、あまりのばかばかしさに、笑ってしまう。他人のいるところで読むのはお勧めしない。

 また、登場人物が突然歌い出す。というより、いつの間にか歌になっている。二つだけネタバレしてしまうことをどうかお許しいただきたい。例えば、仮設テントから放射性物質の混じっている大雨の中に出て手に手を取って歌う人がいる。仮設テント暮らしの熟女と汁男優と風俗でしか抜いたことのない男が歌う「I was born to love you」は、クイーンの伝説のウェンブリーコンサートよりもずっと魂がこもっていてかっこいい。そうかと思えば、某国の首脳のそっくりさん数名があるものを前に、余人に見せられない顔をしていて(こう書いている時点で、ゴルゴ13のヒット対象になってしまうだろう)、いきなり歌い出す。あまりにその移行が自然なのだ。というより、まともな人は主人公の監督も含めて誰もいないというべきか。それとも、真実を言い、歌い踊る彼らこそがまともなのか。

 わからない、わからない。多分、作者が冒頭で親切にも助言するように、私は精神科に行った方がいいのだろう。作者は最初にこう書いている、「いうまでもないことだが、これは完全なフィクションである。もし、一部分であれ、現実に似ているとしても、それは偶然にすぎない。そもそも、ここに書かれていることが、ほんの僅かでも、現実に起こりうると思ったとしたら、そりゃ、あんたの頭がおかしいからだ。 こんな狂った世界があるわけないじゃないか。すぐに、精神科に行け!いま、すぐ!それが、おれにできる、唯一のアドヴァイスだ。」と。

 しかし、「するな」と言われるとしたくなり、反対に「精神科に行け」と言われると、行きたくなくなるのが人情というものだ。ここは天邪鬼になって、作者の助言を礼儀正しく断り、ここに書いてあることが、ほんの僅かでも現実に起こり得ると思って読もう。その方がとても面白いからだ。ウサマ・ビンラディンと樋口一葉とのコラボレーションというのがあったら面白いではないか。大丈夫、私は狂ってはいない、私の判断では。

 間に入っている文学論で、「おそらく、「震災」はいたるところで起こっていたのだ。わたしたちは、そのことにずっと気づいていなかっただけなのである」と述べられている。これが単体の文学論であれば話はわかりやすいのだが、ヘンリー・ミラーの『北回帰線』ばりの小説の中に入っているのがミソである。だから、この文学論も、ばかばかしいチャリティAVを撮る話の一部として読まなければいけない。そのことを通して言われていること、それは読者一人ひとりが考えることだろう。この作品は見かけよりもずっと緻密に作られている。まさに、美学的概念のスプレッツァトゥーラ(sprezzatura)、つまり「計算された無頓着さ」「鍛錬され尽くしたさりげなさ」である。
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EMI Takashi(ヒソカ)

Author:EMI Takashi(ヒソカ)
2005年に神経性疾患を発病し、体調記録をつけるためにブログを始めました。そして、読書能力の回復に伴って、本のレビューを書くようになったものの、最近は時間を作れず、やや休止中でございます。

 数年前、出版社で働くようになりました。仕事そのものが面白く、その都度自分で課題を見つけて解決するというプロセスが楽しい。
 このブログでは、「扉の開いた」言葉を求めつつ、この世界に生きる一人の人間としてキリスト教・世界に対して疑問に思うことを考察していきます。単に評論家的な批評をするのではなく、自分でできることを示せるような、自分の持ち場に立った言葉を紡いでいきたいです。

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