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『戦場で心が壊れて 元海兵隊員の証言』

戦場で心が壊れて―元海兵隊員の証言戦場で心が壊れて―元海兵隊員の証言
(2006/09)
アレン ネルソン

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 アレン・ネルソン『戦場で心が壊れて 元海兵隊員の証言』新日本出版社、2006

 著者が、海兵隊に入り、戦闘訓練を受け、殺人マシーンへと変えられ、ベトナムに行った話は前著に詳しい。

 本書では改めて軍隊が人間をどう作り変え、兵士が戦場で何をしたかを語ると共に、戦地から故国に戻った兵士がどんな日常を過ごし、人と付き合っていくのもうまくいかず、治療を受けて回復するまでにどれほどの膨大な時間を必要とするのかを簡潔でわかりやすい言葉で述べている。

 除隊後に、PTSD(心的外傷後ストレス障害)を発症し、それがどのような症状をもたらし、そこからどのように回復したかという治療体験が、本書では詳しく書かれている。そして、それを特に日本の人々に向けて語ると言う。というのも、著者によれば、日本社会もまたPTSDにかかっているように思えるからだ。

 この「日本社会もまたPTSDにかかっている」という指摘は鋭い。著者は、初めは何かがきちんと機能していないような違和感を抱いた。日本各地を回って、それぞれの土地を見て、人々と話をすることを繰り返して著者が気付いたのは、誰も第二次世界大戦のことを話したがらない、あるいは話せないということであった。学校で講演した際に特に印象深かったこととして著者が記しているのは、日本の子どもたちや若者たちに、第二次世界大戦についての知識が極端に乏しいことであった。

 「南京虐殺はなかった」「『従軍慰安婦』の女性たちは金のために自分から志願した人々であって、軍が強制したわけではない」「日本は自分を守るために戦争をした」、そうしたことを平気で言う政治家たちの言葉に、著者は「殺人」をしたのが自分自身であることを否認した、かつての自分を見る。

 第二次世界大戦のことを語りたがらず、語れないのは、多くの人々がそのことを触れてはいけないこととして抑圧しているからだ。しかし、人々はそのことを常に考え続けている。何百万人もの日本人が命を落とした戦争である。どれほど抑圧し否認しようとも、なかったことにはできないし、忘れることもできない。そこからの解放は、著者がしたように、自分がそれをしたと率直に認めることである。そのことに自分は責任がある、それを認めるところから解放は起こらないし、人間らしさを取り戻すこともできない。

 「過去の戦争の事実を直視しないということは、そこから教訓を学ばないということになり、再び同じ間違いを繰り返しかねないということになる」という著者の指摘は、1985年5月8日に、当時西ドイツの大統領であったヴァイツゼッカーがした演説の、「過去に目を閉ざす者は結局のところ現在にも盲目となります。非人間的な行為を心に刻もうとしない者は、またそうした危険に陥りやすいのです」という一節を思い出させる。

 著者は戦争に行った人間だからこそ、日本の憲法九条に込められた平和を希求する祈りと願いの痛切さがわかる。もう二度と自分のような人間を生んでほしくないという祈りを託して。この証言と祈りはとても重い。全体を貫くのはまさにその祈りである。
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EMI Takashi(ヒソカ)

Author:EMI Takashi(ヒソカ)
2005年に神経性疾患を発病し、体調記録をつけるためにブログを始めました。そして、読書能力の回復に伴って、本のレビューを書くようになったものの、最近は時間を作れず、やや休止中でございます。

 数年前、出版社で働くようになりました。仕事そのものが面白く、その都度自分で課題を見つけて解決するというプロセスが楽しい。
 このブログでは、「扉の開いた」言葉を求めつつ、この世界に生きる一人の人間としてキリスト教・世界に対して疑問に思うことを考察していきます。単に評論家的な批評をするのではなく、自分でできることを示せるような、自分の持ち場に立った言葉を紡いでいきたいです。

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