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『愛着障害 子ども時代を引きずる人々』

愛着障害 子ども時代を引きずる人々 (光文社新書)愛着障害 子ども時代を引きずる人々 (光文社新書)
(2011/09/16)
岡田 尊司

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 岡田尊司『愛着障害 子ども時代を引きずる人々』光文社新書、2011

 安定した愛着こそが、人間が幸福に生きていく上で最も大切なものだと、著者はいう。愛着とは、人と人との絆を結ぶ能力であり、人格の最も土台の部分を形造っている。人はそれぞれ特有の愛着スタイルを持っていて、どんな愛着スタイルを持つかによって、対人関係や愛情生活だけでなく、仕事の仕方や人生に対する姿勢まで大きく左右される。また、どういう愛着が育まれるかということは、先天的にもって生まれた遺伝的要因に勝るとも劣らない影響を、その人に及ぼす。その意味で、愛着スタイルは「第二の遺伝子」とも言える。

 従来、愛着の問題は、子どもの問題、それも特殊で悲惨な家庭環境で育った子どもの問題として考えられる傾向にあった。しかし、近年は、一般の子どもだけでなく大人にも当てはまる問題だと考えられるようになってきているという。更に著者によれば、発達障害やパーソナリティ障害といった問題の背景にも愛着の問題が関係しているが、十分に注目されてこなかったという。そうした問題に、愛着という観点からアプローチしていく。また、きちんとした愛着がどういうものであり、それが身につかないとどうなるか、アイデンティティや対人関係の仕方にどんな影響を及ぼすのかを、豊富な事例を上げて説明していく。同時に、愛着障害を抱えている人にはそれを克服するヒントも提供している。

 四つの「愛着スタイル」がある。安定型、回避型、不安型、恐れ・回避型である。本書によれば、私の愛着スタイルは「不安型愛着スタイル」である。本書にある全ての指摘が当てはまるわけではないが、思い当たる指摘が多かった。例えば、過剰な気遣い、不安型の一番の関心事が「人に嫌われていないかどうか」ということ、拒絶や見捨てられることを恐れるあまりに相手に逆らえない、否定的な感情にとらわれやすくて些細なことをいつまでも引きずりやすい性向などである。読みながら膝を打つこと数度、自分の思考や行動の背後にあるものに理解が及んで、解放された気分を味わった。

 他方、「回避型愛着スタイル」の特徴として、相手の痛みに無頓着なところがあるため自分が相手を傷つけていることに気づかない、縛られないことを重視する、本気で熱くなることが少なく何に対しても醒めているなどがある。今まで出会ってきた人の何人かにこの特徴がかなり当てはまり、その人たちの背景が理解できて、彼らに対する否定的な感情が少し消えた。愛着が、物事の認知枠組みの形成に強く影響するというのは、重要な指摘である。

 本書は、愛着の問題が重要であり、それがきちんと形成されないと、対人関係や愛情生活だけでなくその人の人生に多大な影響を及ぼすことを、理論的に述べると共に、文学者やクリエイターの事例を引いて例証していく。例えば、夏目漱石や太宰治やジャン・ジュネやスティーブ・ジョブズは愛着障害を抱えていた。彼らなりにそれらを克服していったからこそ、偉大な仕事を生み出せたことを、著者は説得的に描いている。更に、そうした事例から学びつつ、愛着障害を克服する具体的なアプローチを記していることも、本書の優れた点だ。

 「人に気をつかいすぎる」「親しい関係が苦手」「自分をさらけ出すことに憶病になる」「拒否や傷つくことに敏感」「依存してしまいやすい」。そうしたことをなぜしてしまうのか。他の生き方もできたはずなのに、なぜ、この生き方をしてきたのか。それらの裏側には愛着の問題が潜んでいる。そうした生き方とは違った生き方を求めている人に、本書を強くお勧めしたい。自分の愛着の特性を理解した時に、愛着にまつわる多くの疑問は氷解するだろう。
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プロフィール

EMI Takashi(ヒソカ)

Author:EMI Takashi(ヒソカ)
2005年に神経性疾患を発病し、体調記録をつけるためにブログを始めました。そして、読書能力の回復に伴って、本のレビューを書くようになったものの、最近は時間を作れず、やや休止中でございます。

 数年前、出版社で働くようになりました。仕事そのものが面白く、その都度自分で課題を見つけて解決するというプロセスが楽しい。
 このブログでは、「扉の開いた」言葉を求めつつ、この世界に生きる一人の人間としてキリスト教・世界に対して疑問に思うことを考察していきます。単に評論家的な批評をするのではなく、自分でできることを示せるような、自分の持ち場に立った言葉を紡いでいきたいです。

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