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『ブギーポップ・イントレランス オルフェの方舟』

オルフェの方舟―ブギーポップ・イントレランス (電撃文庫)オルフェの方舟―ブギーポップ・イントレランス (電撃文庫)
(2006/04)
上遠野 浩平

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 上遠野浩平『ブギーポップ・イントレランス オルフェの方舟』電撃文庫、2006

 久しぶりに「ブギーポップ・シリーズ」を読む。世界のシステムを破壊し、統和機構にさえ手に負えないような「敵」。それを殺すブギーポップ。本作の「敵」は、まさに世界のシステムを破壊しかねない力を秘めていると感じた。

 その敵を狩るブギーポップとは何か。左右非対称の表情を浮かべるブギーポップには怒りや悲しみや笑いはある。しかし、「彼」には慈悲だけが欠けている。自動的な存在で、ただ「世界の敵」を倒すためにのみ殺意を振るう「彼」に慈悲はない。懇願も嘆願もブギーポップを動かさず翻意させない。いや、「殺意」があるというのは正確ではないだろう。なぜならブギーポップは自動的に浮かんでくる泡なのだから。

 作品タイトルに冠されながら、「彼」は主人公でさえない。登場人物にとっては無視できない存在だ。おそらく読者にとっても。しかし、「彼」はどこか希薄だ。まさしく一瞬現れては消える泡だ。そんな彼はとてつもなくイントレランス(不寛容)な存在である。
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プロフィール

EMI Takashi(ヒソカ)

Author:EMI Takashi(ヒソカ)
2005年に神経性疾患を発病し、体調記録をつけるためにブログを始めました。そして、読書能力の回復に伴って、本のレビューを書くようになったものの、最近は時間を作れず、やや休止中でございます。

 数年前、出版社で働くようになりました。仕事そのものが面白く、その都度自分で課題を見つけて解決するというプロセスが楽しい。
 このブログでは、「扉の開いた」言葉を求めつつ、この世界に生きる一人の人間としてキリスト教・世界に対して疑問に思うことを考察していきます。単に評論家的な批評をするのではなく、自分でできることを示せるような、自分の持ち場に立った言葉を紡いでいきたいです。

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