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『好きと言えたらよかったのに。』

好きと言えたらよかったのに。 世界で一番せつない62のメッセージ好きと言えたらよかったのに。 世界で一番せつない62のメッセージ
(2012/06/16)
鈴掛 真

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 鈴掛真『好きと言えたらよかったのに。 世界で一番せつない62のメッセージ』大和出版、2012

 著者は私より7歳下の歌人。「「あきらめきれない恋」をしているあなたへ」という帯文に惹かれ、手に取った。

 全てのメッセージが短歌形式である。平易に、かつ凝縮した言葉で、人を好きになることの喜びや辛さや切なさをつづっておられる。たとえ、その恋が片思いで成就することがなかったとしても、あるいはその思いを伝えたくても伝えられない事情があったとしても、そもそも「誰かを好きになれたこと」がすばらしい、と著者は言う。こう言えるのは、著者自身が、自分の気持ちと真摯に向き合ってきたからだ。
 
 著者は最初、短歌が自分自身の単なる独白にしかなり得ない、と考えておられたという。しかし、ブログやTwitterで作品を発表する中で、これまで短歌を読んだことのなかった人たちが積極的に興味を示してくれ、また「勇気がわいた」「恋がしたくなった」などの感想をくれるようになって、短歌には誰かの心を動かす力があると気づかされたという。

 元々、誰かに見せることを意識して書かれたのではない独白だからこそ、届かないかもしれない祈りだからこそ、62のメッセージは他者に届き得る言葉となったのだと思う。切々と自らの気持ちを歌いあげたからこそ、多くの人が経験する恋の切なさ、成就しない思いの辛さに形を与える言葉となったのだ。

 「世界中の時計を止めてⅠ時間だけでいいから話がしたい」 そのたった一時間だけでいい、でも、現実にならない、そんな願いともどかしさと辛さが伝わってくる。

 「最大の汚点はもはや好きだって気づいたことにあった気がする」 今の私にはこれが特に強く響く。

 6月に出た時、この本を目にしていた。しかし、手に取らなかった。今日手に取ったのは、ちょっぴりショックなことがあったためかもしれない。いや、成就しない思いに何度も折り合いをつけてきた経験があるからなのかもしれない。ともあれ、そういう経験に言葉を与えてくれた著者に深く感謝する。

 叶わないかもしれない思いを抱く人にそっと寄り添うひそやかな言葉に満ちている。同時にそれだからこそ、この本は希望の在り処をそっと教えてくれてもいる。
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プロフィール

EMI Takashi(ヒソカ)

Author:EMI Takashi(ヒソカ)
2005年に神経性疾患を発病し、体調記録をつけるためにブログを始めました。そして、読書能力の回復に伴って、本のレビューを書くようになったものの、最近は時間を作れず、やや休止中でございます。

 数年前、出版社で働くようになりました。仕事そのものが面白く、その都度自分で課題を見つけて解決するというプロセスが楽しい。
 このブログでは、「扉の開いた」言葉を求めつつ、この世界に生きる一人の人間としてキリスト教・世界に対して疑問に思うことを考察していきます。単に評論家的な批評をするのではなく、自分でできることを示せるような、自分の持ち場に立った言葉を紡いでいきたいです。

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